「取引所から大量のビットコインが流出したのでこれは上昇サインだ!」とTwitterでたまに見かけますが、いまいちピンと来ない方に向けて、この記事では「取引所からのビットコイン流出と価格上昇の関係性」や「指標の信頼性」について説明します。
取引所から大量のビットコインが流出
ブロックチェーンデータ企業グラスノード(Glassnode)によれば、2021年8月始めに取引所から大量のビットコインの流出が確認されました。
黄色で表記した左軸が取引所残高(Balance on Exchanges)を示しており、8月頭に258万7000から248万に減少しました。
グレーで表記した右軸はビットコイン価格を示しており、8月には4万ドル付近で推移しています。
出典:Glassnode
上記の動きが現れてからTwitterでグラフと共に「上昇サインだ!」という投稿が増えたのですが、その理屈とはなんでしょうか。
なぜ?「取引所から大量のビットコインが流出=上昇サイン」
その理屈は単純で、ビットコイン保有者が長期的な値上がりに強気になったことで、取引所から
個人のコールドウォレットなどに移動したためです。
売却の可能性がある場合は何かあった際に即座に対応できるように取引所のウォレットに預けておくのが良いですが、取引所から個人のコールドウォレットに移動したということは「この先しばらくは売却の可能性はないな。」と判断した、つまり「価格が上昇しそうだからガチホしとこ!」と判断したということです。
逆に個人ウォレットから取引所への移動が増えた場合は下降サインです。
個人のコールドウォレットに移動するメリットは取引所がGOXなどして資産を失うリスクを避けることができる点です。
また、ビットコインを移動するにも誤送金のリスクがあるため送金行為自体そんなに進んでしたいものでもありません。
したがって、大量のビットコインが移動するということはそれだけ強い意図や思いの表れと捉えることができます。
ただし流出量の正確な計測は難しいし、フェイクもあるので注意
取引所から大量のビットコイン流出があっても注意が必要です。なぜなら
- 流出量の正確な計測は難しい
- フェイクあり
取引所から移動したからと言って必ずしもガチホ用の個人コールドウォレットに移動するとは限りません。
「取引所から別の取引所」への送金もあり得ます。
また、実際にはフェイクも含まれており、「暗号資産取引所クラーケン(Kraken)は、同社取引所におけるビットコイン残高の減少は、同社プラットフォーム内での移動の結果によるものだと発表した」という出来事がありました。
取引所から大量の流出=上昇サイン 信頼度は?
信頼度は今のところ百発百中です。
ただし、データ数が2しかないので注意が必要です。
下図に示したように2020年5月、11月、2021年8月の計3回で10万を超える流出が確認され、2020年5月、11月のいずれにおいてもその後に価格が大きく上昇しています。
この記事を書いたのは2021年8月10日なのでこの後価格が上がるかどうかに注目です。
取引所のビットコイン純持高の変化
出典:Glassnode
緑グラフが取引所への流入量、赤グラフが取引所からの流出量、グレー線がビットコイン価格を表しています。
グラフの期間は2019年8月〜2021年8月初旬です。
予防線を貼るようで申し訳ないのですが、今までうまくいっているからと言って今後もうまくいくとは限りません。
特にビットコインなどの暗号資産は歴史も浅く、個人資産家から機関投資家へ取引主体が変わったりなど色々な変化が起きています。
したがって、これまで通用した指標が通用しなくなる可能性も高いです。
まとめ
- 「取引所から大量のビットコインが流出=上昇サイン」はなぜ?
→ビットコイン保有者が長期的な値上がりに強気になったことで、取引所から個人のコールドウォレットなどに移動したため。 - 信頼度は百発百中(ただし、2分の2)
- これからも通用するかは謎
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